中小企業団体中央会について

IT活用研究会

第3回IT活用研究会 詳細レポート

【地方の中小企業が人材獲得に成功するためのIT活用法】

黒田編集長の講演をお聞きして、インターネットで人材を獲得すると言うことは、企業自身がどのような経営を目指していくのかが明確になっていなければ、ターゲットとすべき人材像がままならない事を感じた。新卒のほぼ全員がインターネットによって企業を探しているいう現実。すでに、インターネットで入社した人が、インターネットで転職探しをしているという事実。インターネットによるリクルーティングはもう、補完的な求人手段ではなく、仕事を探す人たちの間ではインフラになっていることを感じた。黒田編集長の講演からそのような気づきのフレーズを拾っていきたい。

●どんな人材が必要かは、企業が何をしたいかによって決まる

「いい人材が欲しい」どの企業でも言われることである。いざ、「では、いい人材とはどんな人を言われているのですか」と問いただすと、「う〜ん、いい人材ねぇ〜」となる。黒田さんのお話を聞いていて、経営者の一人として、うんうんとうなずける事が一杯あった。そもそも、企業に入るというのは、もちろん収入を確保するということもあるが、やはり自分のやりがいを求めて仕事を探すということが就職の最大の目的ではないだろうか。とすれば、企業としても何をしたいのかが明確になっていなければ、求職者を引きつける事は出来ないだろう。
 
「やはり多少地域とか、給与金額とかデータ面の要素だけではなくて、人間は本当にやりがいを感じられると、ほかの条件を捨ててでも動くのかな、というのが、わたしの思っているポイントで、そこのバランスの問題が非常に大事かなとは思うんですけども、一番こだわりたいことということを絞り込めている人は多少ほかの条件を捨てても動くというのが結論かなというふうに思っております」

「それで、先ほどお話をした、人材獲得をする前に、どんな人材が必要なのか、を考えないといけないし、どんな人材が必要かということは、その企業が何をしたいのかによって決まりますよね。実際人材を獲得する前にはまず経営戦略というか、今後どうしていきたいのかということを決めないといけないのかなという話をさせていただきたいと思います」

 

黒田さんはリクルート入社以来、一貫して求人情報誌b-ing、とらばーゆの広告と編集の仕事に携わっておられる。紙メディアであれ、インターネットであれ、結局のところは、企業が何を伝えるかによって、思い通りに行くか、思ったように行かないかが決まるといわれているのは印象的であった。
また、経営資源を論じても、新鮮な視点を与えてくれる。経営資源とは俗に、ヒト、モノ、カネと言われているものである。

「人・物・金・情報とよく言いますが、現実には、金・物・情報・人の順番で、日々の仕事は回っていると思います。実際にキャッシュフローはどうなっているとかいうところで、直前の目先の仕事と、長い目でみた会社の作っていき方・勝ち方という所を同時並行で考えられているのかな、と。
それをいつまでにとか、時間軸のスパンとか、どのエリアで、奈良で限定するのか近畿でなのか日本全国でなのか、その戦う場所をどこに定めるのかみたいな話も同時に経営者の視界に入っているのかなと。ここでまず経営戦略上、今後その会社が例えば3年後いろんな競合とか注文の多いお客さんとかを相手にしながら、自社の商品をどうやって売っていくか、あるいは売上を拡大していく、シェアを上げていく。いろいろあると思うんですけど、そのときの最大の強みはなにかと。競合優位性、競争優位性みたいな言葉で語られることですけど、これを何に決めるのかということをはっきりさせないといけないのかなといつも思いながら仕事しております」


カネが第一で、人が最後、といわれるとドキッとする。しかし、実際、営業会議でもまず数字から始まるのではないだろうか。数字良ければすべて良し。冷静に考えれば、数字は企業の競争優位の結果として出ているわけだから、その優位性の元になる、黒田さんの言うところの「強み」を何にするかが、企業経営ではもっとも大切なわけだ。すなわち、企業が何を目指すかによって、その「強み」の磨き方も変わってくる。こうしてお話を伺いながら、企業経営とは何かなんて考えていると、経営もなかなか奥が深くて面白いものであると思えてくる。

 

1996年にシリコンバレーに訪問した時に、アメリカのネットベンチャーがこう言っていたのが、いまでも記憶に残っている。「私は5年後に何をしなければならないかをいつも考え続けている」このような不透明な経営環境だからこそ、長い時間軸を持つ事も経営者には必要だろう。求職者はいまの会社の状態よりも、経営者の考え方を信じて、企業の3年後、5年後に自分がどのような役割を果たしているかを描いているのではないだろうか。

 

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