2025-02-26 : 組合の先進事例紹介(奈良靴産業協同組合・桜井木材協同組合)

<奈良靴産業協同組合の先進事例>
 奈良県は明治維新以降、草履や履物全般の生産が集約された伝統的な履物産地として知られ、主に紳士用ビジネスシューズのOEM製造を行っていました。しかし、1990年代以降、海外製の安価な革靴が主力となり、日本製革靴の市場が縮小しました。
 奈良の靴メーカーは競争しつつも相互協力を進め、奈良の靴産業や「メイドイン奈良」のブランドイメージ向上を目的として、「奈良発靴プロジェクト」を開始しました。
 このプロジェクトは、7社共同で発足し、第1弾として、2019年から革靴ブランド「KOTOKA」を開発・展開。日本的なミニマリズムを表現した一枚革のデザインで、古都奈良らしさを表現しました。ディレクション担当の鈴木理也氏の監修のもと、7社は製造と販促を共同で行い、公式ECサイトやSNS、YouTubeでプロモーション展開する仕組みを構築しました。
 第2弾では、最新の調査に基づき、日本人の足形に合ったサイズ12種と足幅2種の「奈良木型」を共同開発。これを用いて、各メーカーがオリジナルのデザインで「奈良木型の靴」を販売する仕組みを構築しました。この取り組みは、木型を共有することでフィット感の差をなくし、「メイドイン奈良」の靴としての展開を目指しています。
 「KOTOKA」は2024年までに、販売足数が4年連続で前年比20%以上増加し、YouTuberとのコラボ動画などが反響を呼び、狙い通りの成果が出ていると考えています。奈良の靴産業の認知度が高まり、各社のECサイトへの追い風となり、組合員同士の情報交換が活発化するなど、協働による意識の向上が見られます。

<桜井木材協同組合の先進事例>
 桜井木材協同組合では、原木出材に関わる人材の高齢化と担い手不足が進行しており、単価の下落により山林管理が割に合わず放置山林が増加しています。このままでは原木市場への供給が不安定になり、組合の存続にも影響が出る懸念がありました。
 そこで組合は「原木市場への安定供給」を最重要課題として取り組み、関連会社の桜井木材市場株式会社に山林管理・原木出材のためのフォレスター部門を新設し、奈良県が運営する「奈良県フォレスターアカデミー」と連携を図り林業を学ぶ学生に向けて求人を開始しました。
 「奈良県フォレスターアカデミー」は、スイスのフォレスター制度をモデルにした森林環境管理の人材養成機関であり、組合はこの機関で学ぶ学生を採用し、担い手を確保・育成する取り組みを開始しました。
 2024年4月には、20代の若手2名を雇用し、実務経験を積ませるべく山林部門の育成に努めています。初年度は収益化に至るような成果は出ていませんが、3~4年後には安定した原木供給を目指しています。
 2025年にはさらに1名を採用し、計3名体制での稼働を予定しています。
組合は持続可能な林業を実現し、安定した原木供給を達成するために、若手の育成に力を入れています。

 




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組合先進事例の紹介