中小企業団体中央会について

IT活用研究会

第1回IT活用研究会 詳細レポート

●ネットワークの基本は囲い込むことではなく「オープン」であること

顧客の囲い込みと言うのは、インターネットで良く言われていることである。しかし、実態はなかなか囲い込もうと思っても、顧客はするりと逃げて言ってしまうというのが現実である。果たして、顧客は囲い込めるのか。内原氏は明快にこの答えを語ってくれる。

「今日は製造業の方だけではないということですので、"B to B"いわゆる企業間取引ですね、これにインターネットをどうやって使うかというお話をこれからさせていただきます。先ほど見ていただいたように、NCネットワークでも沢山の横の連携の発注が起きています。横の連携だけじゃなくて、寿技研さんの事例に見るように大手のメーカーもNCネットワークを多数使っていただいています。こういったメーカー、例えば日立製作所はTWXというシステムを180億円ぐらいかけて立ち上げて、どんどんネットで実際に発注しますよ、ということをやっています。ただし実際にはこれまでの下請けを囲い込むネットワークであって、オープン化されていないわけです。


NCネットワークはそれに対して、元々は横の連携で行こうということでスタートしました。実際やってみるとインターネットだったんで色んな事例が起きちゃったんですね。最近では大手のメーカーから『EMIDAS会員に入れてくれよ』という話がだんだん増えてまいりました。逆に小さい中小の工場も、大手のメーカーが持ってらっしゃる高額な研削機械だとか、高額なNC設備、そういったものを利用したいということで、最近ではEMIDAS会員さんの中に大手のメーカーも入ってきておられます」

当初は下請け企業同士の仕事の補完ネットワークという展開で進んだが、ネットワークのスケールが拡大していくに伴って、あるいは、参加企業数が増殖していくに伴って、ネットワークの中で新たな関係が構築されてきたわけである。大手メーカー=発注会社、中小企業=受注という構図は、それだけでなくなった。大手メーカーの設備を中小企業が利用するという展開も出てきたのだ。まったく、予想外である。このようにネットワークは当初予期していないことが起こる可能性を大きく秘めている。危機になればこそ、新たな可能性を求めてネットワークを創り始めるのも重要な選択肢である。

また、内原氏はNCネットワークの将来展望についても、いたずらに対象を拡大するのではなく、あくまで加工ネットワークに領域を絞り込むと言う。

「ただし今後もNCネットワーク自体は二次サプライヤー、三次サプライヤー中心のネットワークに特化していくというふうに考えています。かなり一次サプライヤーの所まで入ってきておりますが。
 実際にはNCネットワークの位置付けというのは加工のネットワークというふうに考えております」

●工場が沢山集まっているページを作ればそこに沢山人が来てくれるんじゃないかな

内原氏は内原製作所の専務でもある。内原製作所の専務がなぜ、NCネットワークという新しい事業をやろうと思ったのかについても話している。

「内原製作所は建築の金物をやっている会社です。こういう建築の金物というのは、今日いらっしゃってる皆さん殆どの方にとっては必要のない品物です。こういった品物を誰に売るかということをいろいろ考えていたんですね。僕の親父等の紹介をさせていただきますと、これが親父で、これが工場長、金型を作ってます。僕はいま非常勤なんですが、弟がおりまして、今このページを作ってるのが妹なんですが、家族5人でやってる典型的な町工場です。
 要はこのページをどうやって売り出すかということを考えたわけです。どうやって売り出すかというと、このページというのは普通の人が見ても全くおもしろくない。それで僕が思ったのは、工場が沢山集まっているページを作れば結果的にそこに沢山人が来てくれるんじゃないかな、ということです」

 本当に素直に考えてここにいきついている。ただ、そこに至るまでの伏線はある。
「僕自身、元々内原製作所で仕事していた時に、結構色んな事に手を出していたんですね。例えば建築の金物屋なのに釣具のルアーを作ってみたりとか、パソコンの周辺機器を作ってみたりとか、非常に色んなことをやりました。それはまぁ、親父がまだ社長やってまして、多少余裕があるうちに色々挑戦してみようと、その範囲内でやってたんですが。その時に色んな仲間作りをやっておりました。
先ほどちょっと色んな組合の話をしましたが、私自身東京都の中央会の青年部にも所属してますし、そういう組合だけでも7つぐらい入っておりました。その中で色々勉強させて頂いて、色々交流を実際に深めたんですね」

組合活動を通じて、自分の考えを整理していたり、新しいことに対して貪欲にチャレンジしていたことが伺える。お話を伺っていて、組合の存在価値のようなものにも触れることが出来た。