- 連携組織(組合)とは -

主な事業の種類

事業協同組合が実施する共同事業には、様々な種類がありますが、比較的多くの組合が実施している事業は、次のような事業です。

(1)共同生産・加工事業

 個々の組合員では所有できない高額・大型の機械設備等を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工し、組合員に供給する事業です。これにより原価の引下げ、規格の統一、品質の向上、設備や仕事の効率化などが可能となります。共同施設の設置には、高度化融資制度の活用や商工中金等からの融資のほか、国等からの支援策も充実しています。

(2)共同購買事業

 組合員が取り扱う製品を組合がまとめて販売する事業です。これによって、販売価格や決済条件が有利になるほか、大口需要先の開拓など販路の拡張が図れます。

(3)共同販売事業

 組合員が取り扱う製品を組合がまとめて販売する事業です。これによって、販売価格や決済条件が有利になるほか、大口需要先の開拓など販路の拡張が図れます。

(4)共同受注事業

 組合が注文を受け、組合員が仕事を担い、組合が納品する事業です。これによって、大口発注先の開拓など販路の拡張や、取引条件の改善などが図れます。なお、組合員に注文を斡旋する方法もあります。

(5)市場開拓・販売促進事業

 市場開拓事業は、前述の共同販売事業や共同受注事業と連動して行われることが多く、組合員の製品や取扱商品などの販路の拡張を図るため、共同で市場調査や展示会を開催する事業です。販売促進事業には、広告・宣伝、共同売出し、ポイントサービス、クレジットなどの事業があります。これらの事業は、個々の企業では採算が合わないとか、品揃えができないなどの理由で実施することが難しい場合でも、共同で行うことによって可能になります。実施形態としては、展示会の開催・出展、共同での広告宣伝、共同売り出し、商店街のポイントサービスやクレジット事業等が代表的なものです。

(6)研究開発事業

 組合が研究施設を設置したり、公的な試験研究機関などに研究を委託するなどにより、組合員の事業に関する様々なテーマについて研究開発を行う事業です。これによって、新製品・新技術・意匠・生産工程・販売方法の改善・開発などが図れます。

(7)人材養成事業

 組合員をはじめ、その後継者、組合員企業の管理者などを対象に計画的・体系的な教育研修などを行うことによって人材を養成する事業です。人材は、企業経営の根幹をなすものですが、特に最近では、情報力、技術力、マーケティング力などのソフトな経営資源の充実を図る必要から、この事業の重要性が高まっています。

(8)情報提供事業

 組合員の経営に役立つ需要動向、技術情報、業界情報、経営管理情報などを収集し、組合員に提供する事業です。また、組合の共同事業に役立つ情報の収集や、組合を PR するための情報を組合員や関係方面へ提供することも大切な事業の1つです。最近では、コンピュータなど情報機器を積極的に活用して情報提供を活発に行っている組合も多くみられます。

(9)金融事業

 組合員に対して事業資金を貸与し、または金融機関に対する組合員への債務を保証することにより、組合員の事業資金調達の円滑化を図る事業です。組合が金融機関から資金を借り入れ、これを組合員に貸し出す方法と、組合員が金融機関から直接借り入れる際に組合が保証する方法があります。組合と組合員のための金融機関として商工中金があります。

(10)共同労務管理事業

 組合員の従業員の確保・定着あるいは能力の向上などを図るため、組合員が行う労務管理の一部を組合が代わって行う事業です。これによって、労働時間短縮、福利厚生などの労働条件、安全衛生、作業環境などの改善が図れます。また、従業員の知識・技能などの向上を図るための教育・訓練などもさかんに行われています。

(11)外国人技能実習生受入事業

 事業協同組合等が監理団体となって技能実習生を受入れ、実習実施機関である組合員企業で研修を行うことで、我が国で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転等を目的として行われるものです。

(12)福利厚生事業

 組合員の私生活面の利益を増進するための事業で、健康診断、慶弔見舞金の支給、親睦旅行、レクリエーション活動などがあります。この事業は、組合員の融和、組合への参加意識、帰属意識、協調性の高揚などに効果があります。

(13)環境変化に対応する新たな事業

 地域の中小企業が生き残っていくためには、新技術や新製品の開発、海外市場等への積極対応、地球環境問題への対応等が避けて通れないものとなっています。こうした状況の中で、組合としても組合員の新たな戦略展開をバックアップする事業活動の展開が求められています。特にインターネットを活用した共同販売等の情報戦略、地域ブランドの開発と発信、海外市場調査、ものづくり技能の承継等は喫緊の課題であり、組合としてさらなる積極的な対応が望まれます。
 また、近年人手不足が深刻化する中小企業等では、女性・シニアの活用やIT化・設備投資など「生産性向上」による「働き方改革」への取組が重要となります。この他、経営者の高齢化が進む中で、「事業承継」における後継者不足問題も存在し、M&Aの活用が一つの選択肢となっていますが、組合としてもこれらの問題への積極的な対応が求められます。