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IT活用研究会

第2回IT活用研究会 詳細レポート

【ネット通販繁盛記:ネットショップのつぼ】

岩城社長の講演をお聞きして、ネットショップで成功すると言うことは、実際の商売でも成功できる経営者であるということである。インターネットは魔法の箱のような感覚で商売を始めても、そうは問屋が卸してくれないことをひしひしと感じた1日でもあった。されど、リアルな商売のやり方をベースにネットでの新しいやり方を付加することで、お客様とのコミュニケーションの本質みたいなものも得られることも大いに感じた。岩城社長の講演からをそのような気づきのフレーズを拾っていきたい。

●商売の根本は目先の売上ではなく、長い期間の利益である。岩城真珠の20年計画とは。

ネットショップを始める人の中には、出店コストも安いし、商圏も限られていないし、商品をインターネットにアップするだけでちょっとしたビジネスになるのではないかと思っている人も多いと思う。言わば楽して儲けるにはインターネットが一番だと。しかし、岩城さんの話はこのような淡い期待をちょっとくすぐってくれる反面、思いっきり吹き飛ばしてくれる。
 
「インターネットというのは双方向なのでものすごく御礼を言いやすい部分と苦情を言ってきやすい面があります。苦情が来るから寝られないというのがインターネット。はっきり言って、女房と二人でやってますけど、夜中の11時ぐらいまで彼女は電話を聞いてます。わたしはこの5年間ずっと朝5時起きで朝一番にお客さまのお手元に返事を書くんです。お客さんがパッとパソコンの電源を入れた時に、当社の場合はメールが入るようにしてますんで、これをずっと続けてます」

 

まぁ、商売というのはどんなものでもそんなに楽して出来るものではないというものの、365日24時間、臨戦体制というのはなかなか容易ではない。でも、これも真珠が好きで、いい本物の真珠を欲しいというお客様に届けたいと願っていれば、そんなに苦痛ではないかもしれない。

岩城さんは、目先の売上を追いかけたらいけない。長い目でお客様との関係を創って行こうと提唱している。それが、岩城真珠の20年計画である。アメリカの自動車ディーラーが『一回のお客様を一生のお客様に』というキャッチフレーズを掲げたことがあるが、まさに岩城さんが狙っているのもこれである。岩城さんは本当に人が好きだと感じさせられる一面がある。

 

「(インターネットを始めるときの)当社の目的というのはインターネットをした時に、20年計画で作りました。今年で5年目です。ですから、今年5年目なんで、1ヶ月1千万円の売上をしたい。今月12月でできるんじゃないかな、というところまで。ただし、組織とか人をたくさん入れて1千万円の売上じゃ面白くない。ウチのかあちゃんの内職で1千万円だったら、これはもう『ええ服買えるやろ』と、全く個人的な発想で。20年計画というのはインターネットでお買い求め頂いたお客さまが、私がこれを始めた時が40歳だったので、ちょうど20年で60歳になりますので、その時に娘さんなり周りのお嬢さんに「出来たらウチへ戻ってきて欲しいな」という。そしたら私もあまり出歩かなくていい。パソコンの前で商売できるんじゃないか、というのがインターネットで本腰入れた理由です。ちょうどこの辺で結婚なさるお嬢さま方とかお母様方に買っていただいてますので、あと15年して店舗の方とインターネット、果たしてどちらのほうが信用があるか、商売しながらそういう楽しみも味わっています」

 

インターネットは信用を構築するのが難しいといわれている。確かに、店舗も持たずに商売をしていると、ここから買ってもホントに大丈夫かしらと、思ってしまうのももっともである。実際に信用されないと困るので、店舗の売上がどんどんと低下していても店舗を閉めないで頑張っているネットショップオーナーもいる。岩城さんの名刺に書かれている伊勢志摩の住所も確かに安心感の一つではある。しかし、実は岩城さんの名刺をもらう人はお客様ではなく、ネットビジネス関係者なのであるから、このショップの信用とは別の話である。でも、ここの話はそのような目先の話ではなく、いかにして、ネットでお客様との信頼関係を中長期にわたって築いていくかということである。

きっと、15年後にはネットでコミュニケーションをしっかりと築いているショップが、ネットやリアルに関わらず信用を得ていると感じる。

 

●ホワイトアスパラガスを買うお客様は、真珠を買うお客様である可能性が高い!?

今までリアルなショップというのは、豆腐屋、魚屋、履物屋、金物屋、本屋というように単一の商品群でくくられていた。豆腐屋には豆腐とそれに関連した揚げ、おから、こんにゃくがあるというのが相場であった。しかし、ネットショップではそうであるという制限は無いのである。もちろん、お客様が豆腐サイトに来て、本を買うかという疑問はある。しかし、それが豆腐料理の本であれば可能性は出てくる。

 

岩城さんは検索エンジン対策として、『ひとりごと』というページで毎日毎日エッセイのようなものを書かれていた。そのキーワードが検索されて、岩城真珠のサイトに集まってくるという仕掛けである。例えば、ホワイトアスパラガスのことを岩城さんが書いたことがある。

 

「ホワイトアスパラガスを食べに行ったことを書いておくと、今でも検索エンジンでホワイトアスパラガスを検索するとウチのページに引っかかる。ウチのページに来て『ホワイトアスパラガス下さい』『違います、売ってません』と。来てもらったらお客さんは『見るだけでも結構ですよ』と、普通のお店と一緒ですね。見てもらえたらいいわというふうなやり方で、今、ページ枚数はだいたい2千ページ越えてるんじゃないかなと思います」

 

「もともと小売関係をしている人はよくご存知のように、店の売上というのは2割の顧客が作る。10人来たって2人のお客さんが利益を持ってくる。インターネットの特性として、ネットで買う人はとことん買う。買わない人は全く買わないからその2割をどう掴むかと言ったら、先程来られたアスパラガスを買うお客様は、たぶん真珠をお買い求めになる確率が高いと思います。ですから『ぜひアスパラガスとともにネットで真珠を買ってください』という意向があります』

 

実際にある都内の百貨店で購買動向の調査をした結果、例えばコーヒーのブルーマウンテンを買いに来た人は、その時に一緒に洋書を買う可能性がある。6本入りの缶ビールを買う男性は子供さんのオムツカバーを買う可能性がある。こういうことをよく言われる。ここのところを研究していったら、どの商品を買う人が、もっとも真珠を買う可能性があるという相関関係が出るかも知れない。

 

岩城さんはネットショップと競合するところはショッピングセンターではないかと言われている。この相関関係を見つけれれば、それらを集めたネット・ショッピングセンターは新しい売場である。


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