ものづくり補助事業成果事例集
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近年、電気亜鉛鍍金(めっき)において要求される「膜厚」は非常に高度化している。部品精度が高まって“遊び”が小さくなったことで、防錆効果や勘合部品との組立に影響する可能性があるミクロン単位の膜厚誤差が問題視されている為だ。当社では他の鍍金加工業者と同様に電磁式膜厚測定器を使用していた。しかし、電磁式測定器は塗膜内の異物・キズを含めて測定してしまい、本来の膜厚より3〜5ミクロン厚い数値を返す精度が甘いものだった為、ある時、膜厚範囲の指定がある製品で要求膜厚に対し約4ミクロン不足するという事態が起こってしまった。そこで、①測定精度強化、②受動的であった鍍金薬液の品質管理体制改善、の2つを課題とし、高精度の測定が可能な蛍光X線膜厚測定器の導入を計画した。本事業において課題解決の為、蛍光X線膜厚測定器を導入。電磁式測定器とは測定方式が異なり、異物やキズ、操作者による誤差も無く、遥かに高精度で正確な膜厚測定が実現。「蛍光X線分析装置が無い企業には膜厚精度が要求される鍍金加工を委託すべきではない」と考える多くの顧客企業にも納得してもらえる品質保証のエビデンスとなった。また、従来70〜80分程掛かっていた鍍金薬液の濃度測定が同測定器により5〜6分で完了。一般的な鍍金業者は濃度測定に毎日1時間以上を費やす事は困難であり、異常発生時に測定する後手の対応だったが、5〜6分程度であれば毎朝ライン起動前の測定が可能であり、異常に対して先手を打つ、これまでと全く異なる品質管理体制を構築する事が可能となった。事業の背景精度の甘い測定器が招いた事態事業の成果多くの顧客が納得する品質保証のエビデンス53〈事業計画名〉 蛍光X線膜厚測定器により鍍金膜厚の測定精度向上と、主導的薬液管理体制を確立する平成30年度補正測定精度の信頼度が自社の信頼度に直結能動的な品質管理体制の構築へ株式会社 岸本製作所

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