ものづくり補助事業 成果事例集
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33また、解体を決意するも、役所やNPOなどの支援団体等との連携が図れておらず、地元にありながら施主とのマッチングができないことが多い。解体工事においても、大型重機を使用した一括解体で、その工事に「丁寧さ」や「手間暇」はかけらも含まれておらず、「壊す」という目的のためだけの作業となり、十分な防音・防塵対策をしない、周囲に対する安全対策を行わない、産業廃棄物を適正分別しない等のトラブルも発生している。そこで当社は「空き家問題」に係る解体工事に関するトラブルを低減するために、施主・事業者・各団体が連携した新たな解体施工プロセスによる「おもてなし解体業」を確立した。本事業においては、まず地域・役所・NPO・業者が連携し、今まで当たり前であった作業の在り方を丁寧に見直すことで、それぞれの情報を共有しあう支援体制を構築した。それを元に解体工事検討から竣工までのプロセスを見直し、現地確認や手順説明など、依頼主とのコミュニケーションを重視することで納得できる工程を作成。それによりトラブルは軽減し、作業への丁寧さの向上にも繋がった。解体工事施工方法においても改革を行い、できる限り手作業で一つずつ解体する、適切な機械で丁寧に施工する、建物がなくなった跡地まで綺麗な状態に戻す等、「ただ壊す」から「感謝を込めてみおくる」へとサービスを展開。それにあたり、保有の大型重機より小回りが利き、騒音・排ガスに配慮された小型重機を導入し、他社及び自社の旧来法から周辺家屋や環境に配慮された安全で適正な工法を確立した。事業の背景事業の成果〈事業計画名〉 解体工事の先に見える未来を紡ぐ「おもてなし解体業の確立」思い出ある家の解体に対する思いやり吉野を始めとする過疎地域において課題となってきているのが「空き家問題」で、「空き家対策特別措置法」が施行されるなど社会的問題として近年注目を集めている。市町村やNPOなどの取り組みもあり、移住希望者への賃貸契約の促進なども進められているが、居住可能な状態に復元するには相当な費用を要する場合が多く、解体もやむを得ない物件が数多く存在する。だがそのような事態にあっても人的要因、資源要因、近隣とのトラブルなど数々の問題により解決の糸口が見えていないのが現状である。平成29年度補正「おもてなし解体業」プロセスの構築「家のおくりびと」として解体の先に見える未来を提供する新型サービスの構築株式会社 辰巳組

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