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IT活用研究会

第7回IT活用研究会 詳細レポート

●奈良で頑張る製造業のWeb戦略
オリエンタルシューズ(株)は、Webサイトを取引先の新規開拓を狙いとして開設したという。従来靴販売店での売上は下がっており、単価も下がってきている。輸入品の増加傾向にある。もともと靴は薄利多売であるから、厳しい状況になってきた。そこで、かつては靴は靴屋に買いに行くことが当たり前だが、現在では販売チャンネルが多岐に渡っていることから、ホームセンター等でも自社製品を扱ってもらえるのではないかと新展開を図られている。従来の専門店は営業部隊で開拓しており、 Webサイトはアパレルショップなどで売場づくりの玉としてメンズシューズの販売を提案し、掘り起こしている。

(株)アーキネットでは、Webサイトを昨年夏に開設した。アーキネットのような中小の建設会社は厳しい状況にあり、下請体質の変革や他社との差別化を目指し、医療福祉関係の建設受注にも取り組みはじめた。そこで従来から発行していた取引先向けの広報誌『アーキネット通信』を軸にしたサイト運営やメルマガ配信を通じて、医療福祉のアーキネットの認知度の確立を図っている。取引相手に安心感を持っていただくことに重点をおいており、スタッフ紹介コーナーを設け、分かり易く人柄を伝えるとともに、事業内容を知らせる工夫をしている。Webサイトにも安心感を与える堅実な企業イメージが現れている。


●見る側に何を訴えかけるかポリシーを持つ
オリエンタルシューズでは、B toBメインのサイト運営をしているが、一般消費者からの問い合わせも多いという。多くの方が検索サイトから見に来られる方が半分で、残りは業界等関係者だという。Webサイトを見ての新規取引はないが、営業が回ってWebの内容を参考にされた例はある。
オリエンタルシューズ小野マネージャーは次のような検索サイト対策について次のような工夫をしているという。

「検索サイトのキーワードには“靴”や“シューズ”、“紳士靴”等を登録している。Webサイトを立ち上げて2年目だが、必要性を感じて“新規取引”もキーワードとして入れた。」

Webサイトの運営では、アーキネットとオリエンタルシューズでは違いが見られる。
アーキネットのサイトでは、スタッフの紹介を詳細に掲載している。これについて向井氏は、

「我が社は設立して日が浅いので、会社だけでなくスタッフの『がんばり』を知ってもらい、社員の紹介を出すことで、安心感を持ってもらうためにスタッフ紹介を掲載しています。更新も2ヶ月に1回は、と考えていましたが、3ヶ月毎の更新になっています。」

と語られた。スタッフ紹介には、社長がまず出ている事に対し向井氏は、

「会社の紹介として、社長のあいさつを掲載しても誰も読まないのでインタビュー形式にしている。ただ我が社は下請けの仕事も多く、元請けの会社名で仕事をする機会もあるので、顔写真と名前を掲載すると、その会社の者でないと分かるので、元請けの会社に迷惑をかけることもあることがあります。」

と語られた。このスタッフ紹介は、見る側に親しみを感じさせ、好印象を与えている。一方、オリエンタルシューズは、社長の言葉も掲載している。この事についてオリエンタルシューズの考えを聞いた。

「これは社長の意志もあるのですが、自分達は靴を作っているので、靴を大事にするといことをメインにしているので、あえて掲載しません。ただしパンフレットにはリクルートの関係もあるので掲載しています。」

両者のWebサイトの運営には、それぞれのポリシーが見られる。ただWebサイトを作ったから、社長のあいさつは掲載しなくては、と考えるのではなく、自社のポリシーをWebサイトにどのように表現するのか、またWebサイトの位置づけをどのようにとらえるのか考える必要性を感じさせられた。

オリエンタルシューズに Webサイトの戦略についてお尋ねした。従来の営業社員が取引先をまわる営業とインターネットを活用したネット営業の住み分けが必要になる。既存取引先は営業だけに任せていくのか、小野氏に尋ねた。

「現在は問屋との取引は減少し、小売店への直売が半数になっています。5〜6名の営業社員が既存の取引先と新規の取引先をまわっている状況で、 Webサイトから新規の取引はありません。営業に関しては、新規・既存ともに営業社員とWebによる営業を両立させたいと思っています。」

と応えられた。取引先となる販売店のIT対応状況については、

「『ヘリックス』というブランドがあるのですが、その販促として各小売店の Webサイト作成を無料作成し、Web展開を薦めたことがありました。小売店自身のWebへの対応が出来ていなかったので失敗しました。」

と語られた。 Web上ですぐれたプレゼンテーションを行っても、相手のWeb対応ができていないと、Web戦略が成り立たない。これは当然の事だが、自分のターゲットとする相手は、ネット対応しているかよく考える必要がある。