中小企業団体中央会について

IT活用研究会

第6回IT活用研究会 詳細レポート

【奈良でがんばる会社のインターネット活用】                     
今までのIT活用研究会は全国的に成功しているネット活用の事例を中心に成功ポイントを見つけ出そうと言う視座から実施してきた。今回は、実際に本業をしっかりやっておられて、その本業をやっているなかで、ネットをどういうふうに活用していくかという位置付けでネット活用をされている会社で、なおかつ奈良県内の会社ということで、宿泊業を営む飛鳥荘の伊藤隆司氏、食品販売業を営む梅谷味噌醤油の梅谷清嗣氏にネット活用の実際をお聞きした。必ずしも成功事例だけではなく、実際に今後どのように活用していったらいいのかという点について多くの示唆があった実践的な研究会になった。


●WEBサイトを開設するきっかけは時代の流れに乗り遅れまいとする気持ちから
まずどうしてWEBサイトを開設しようとしたかということについて、飛鳥荘では、7〜8年に旅館業界で国際観光旅館連盟(国観連)という団体に加盟する近畿の旅館でWEBサイトを作ることになった。しかし、インターネット初期の頃にあった定型フォームに自旅館の基本情報である、施設案内、料金体系等を記入するだけというものであった。本来の予約を取るという状態には程遠く、年に1、2件程度のペースでしか予約が入ってこなかった。そんな状態の中で、伊藤さんは、周りがWEBサイトづくりに動き始めた時に何もしないでいると、予約獲得という事だけではなく、情報入手という観点からも立ち遅れるのではないかと言う不安心理がWEBサイト立ち上げに走らせたようである。当初のWEBサイトに対する目的は明確に予約を取るということではなく、WEBサイトを立ち上げる事で自分でも勉強していかないといけないというところにあった。伊藤さんは、その当時の気持ちをこのように述べている。
 
「これではいけないなと思っているところに、世間でもインターネット、インターネットということで話が持ち上がってきて、それぞれ、オリジナルホームページを持たないかん、ということになりました。これはおちおちしてたら、周りの皆がほとんど作ってしまって、自分の所が後から追っかけることになるとかなり立ち遅れになるんではないかと。ホームページもそうですけども、われわれの知識そのものも立ち遅れるんではないかと、そういう部分がすごく怖くなりました」

このようなスタートしたWEBサイトの運営は誰が行っているのであろうか。限られた人員でぎりぎりの仕事を行っている中小企業ではなかなかWEBサイト運営に専従を配置する事は難しい。かといって、ネット対応できる人が一人だけだといつも気を抜けない状態になる。このあたりを飛鳥荘はどうしているのだろうか。

「今現在は、フロントの山本君がやっています。私ども旅館としてはそんなに大きな規模じゃありませんし、フロントの人間もそんなにおりませんので、やはり専任というわけにはもちろんいきませんし、通常の現場の仕事の片手間にやって頂いてるのが現状です。で、山本君が休みの時は私がその代わりをするという形でやっております」

 少なくとも担当者を1名配置して、その担当者が不在もしくは対応できない場合はトップ自らがネット対応するという体制になっている。そして対応そのものよりも大切な事は、トップがサイト運営に関与している事で、常に明確なサイト運営のための方針が出せるというところにあると私は見る。中小企業ではトップがネット運営に関わると言う姿勢がサイト・コンセプトを正しく維持し、スピードのある意思決定をするためには重要である。


●サイト・コンセプトは分かり易くて明快なものにする
 さて、ここでサイト・コンセプトであるが、伊藤さんはこのように考えた。
「集客という部分から言いますと、やはり皆さんご存知のように奈良という所はオンシーズン、オフシーズン、かなり差が激しいですから、少しでもお客さまの少ないオフシーズンにお客さまが来ていただけるような、また、来ていただく目的をこのページから見つけていただけるような、そんな情報発信ができたらなと考えておりました」

年間を通して宿泊予約を取るということではなく、オフシーズンの集客をネットで行なう事で、年間の空室率の改善を図りたいと考えた。宿泊業は、繁忙期と閑散期の差が激しいと従業員の確保や雇用に大きく影響が出る。そのような雇用背景の中でオフシーズンの集客がまずサイトに課せられた課題と考えられる。では、どのようなコンテンツ、すなわち情報をサイトに掲載していかないといけないのだろうか。

「ですからこのサイトを作る時に、じゃあ、どういったものを情報として載せようかと考えましたが、皆さんご存知のように観光情報のページはかなりたくさん出ておりまして、それを一から全て自社で作っていくとなるとかなり膨大なページにもなりますし、もちろん費用的な部分とか労力、全てかかってきますので、そうじゃなしにもうちょっと奈良の裏側と言いますか、奈良の雑学といいますか、そういった部分を当社のホームページでご紹介出来たらということで作りました。実際にお客さまが行かれてどうだったかということを口コミ情報でありますとか、実際にならまちを私たちが歩いて写真で撮ったり、そんなことをして作りました。こういうような、本当のメインの部分じゃなしに、ちょっとメインの部分から隠れているけれども実際そういうところが奈良らしいんだよ、というような部分の紹介が出来ればという思いで現在も制作しております」

 

もっと言うならば、多くの人が来県するハイシーズンではなく、むしろオフシーズンの奈良に魅力があるよということをネットを通じて見せていくことで、ネットの役割が明確になっていく。そのコンセプトに対応したキャンペーンやコンテンツ収集が進められる。