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IT活用研究会

第5回IT活用研究会 詳細レポート

●インターネットでは数が勝負である。いい技術を持ったたくさんの工場を集めよう、そうすればたくさんの発注者が来てくれる
内原氏は最初は共同受注が出来るインターネットの仕組みを作るために東京都労働経済局に行って助成金を受ける動きをした。自己負担1/2の助成金3,000万円を資金にいまのNCネットワークの原型が出来ていった。そのときにいくら共同で受注すると言っても、その存在を誰も知らなければ、あるいはわずか数社がその技術レベルの高さを訴えても誰も来てくれないということであった。そこで、インターネットは数がパワーであるというコンセプトが明確になるのである。

「そこで僕が思ったのは、まず内原製作所という工場がいくらホームページで自分のこんな金物作ってるんですよといくら訴えても、誰も来てくれないな、ということ。そこで考えたのが、要はたくさんの工場が集まっている工場、仮想工場を作ってしまえば、必然的に、そこにたくさんの発注者が来てくれるに違いないと思ったわけです。で、これは僕は当時amazon.comとかイーベイというのを使っていて、「インターネットでは数がパワーである」というふうに直感で感じていました。なぜかというと、amazon.comという所にCDを買いに行くと、その辺のCD屋とかあるいはちょっと大型のCDショップにも売ってないような、非常に数の出てないCDがいっぱい売っているんですね。で、インターネットの場合ですと、そうやってバーッとカタログをいっぱい並べられるわけですね。で、そこでアマゾンとかイーベイというシステムを見て、数を集めなくちゃいけないというふうに思いました。そこで作ったのが、このたくさん工場が入っているEMIDASというページです。

ちょっとお見せしますと、例えば機械加工屋さんを探したいというところで、"レーザー加工ができて"、例えば"フライス加工と成型加工"、ちょっと後加工ができるよと。業界でない方には大変申し訳ないんですけど。で、例えば"奈良・京都・大阪"とチェックして、検索をします。そうすると今1万1千社の会員の中から、6社の方がこうやって該当されたわけですね。
ま、こんな形で工場が一覧して見られるようなネットワークを作ったということです」

 

●インターネットには受発注だけではない価値である、知恵のネットワークが発生している
まず、内原氏の講演から聞いてみよう。

「なぜ受発注に僕はずっとこだわったかというと、僕もやっぱり三代目ですから、金が動いていない所には行かないですね。いくら情報交換だと言ったって行かないですね。ある程度お金が動いている所、ここに人が集まって来るというふうに考えて、製造業のウェブページを作って行くには、ともかく受発注をしなくちゃダメだということで、ひたすら受発注に注力してきました。

ところが、インターネットというのは面白い機能がたくさんあって、実は受発注より面白いこといっぱい出来るんですね。あんまりお金にはならないんですが、「技術の森」というページをご紹介します。ここはどういうページかといいますと、まず、何か質問して頂くんですね。これは8月の31日7時57分、「旋削、断続の仕上がり面の見た目について」という質問が来ています。「素材、SUS304で加工物の端面に数箇所穴が開いていまして断続加工になります。この端面仕上げの時に穴にさしかかると、うっすらとスジが出てしまいます。これを無くす方法はあるのでしょうか、・・・」あといっぱい書いてありますが省きますね。

これに対して、9月1日の9時10分、翌日の朝9時、それから10時34分、夕方の6時21分、9月3日の1時51分と4人の方から何らかの形の返答が入っています。次の質問をちょっと見てみましょう。「 メッキについて」、これは9月2日の9時1分に入っていまして、9月2日の9時49分、9月3日の、昨日の夜ですね、夜中の12時34分、4件今答えが入っています。というように、皆さんが何か質問を入れると日本全国の非常に優秀な製造業の方々が答えてくれるというページです。このページは実はボランティアなんですね。自分が困った時にいろんな人が助けてくれるから、自分も答えてあげようと、そういうボランティア精神で出来ているページです。

 

どういう仕組みになっているかというお話しをしますと、まず自分の得意分野を皆さんに登録して頂く。最初に質問する前に、登録していただきます。例えば、僕だったら金属とか、あるいはマシニングセンター、プレス金型、あるいはCAD、そういった所に登録しているんですけども、要は自分の得意な範囲に登録して頂く。そうすると、誰かが質問をすると、メールが皆さんの所に飛んでいきます。ただ今、質問が入りました。答えてあげてください、ということですね」

 

 いままでのわれわれの考えでは、こんな金にもならないことを答える人がホントにいるのかということになるが、インターネットはそのような邪心を取り去ってしまう力があるようだ。ただ、実際は的確に答えている人がいる工場は技術が高いのだろうと連想させるので必ずしもメリットがない訳ではない。さて、この回答の信頼性はどうなのだろうか。

 

「それとインターネット、メールですから、その答えが本当かどうかという所がやはりあると思うんですね。これは最初の頃あったんですが、例えばある会社の方が自分の商品を売り込みたい。例えばCADの所にある大手のベンダーさんが、うちのCADはこんな機能があって非常にいいんですよと書き込んだ。そうすると他の方がそれに対してお宅のCADはこことここをバージョンアップして直さないと使えないよと、いうふうに書いてくるんですね。ということはどういうことかというと、インターネットというのは本当のことを書き込まないといけないというふうにだんだんなってくるわけです。というのは、たくさんの人が見てますから、なかなかそこに嘘を書き込む勇気というのは、どんな人でもないのではないかなというふうに思います。これもやっぱりたくさんの人が参加することで、結果的に非常に公平な意見、あるいは技術の情報の交換がここで出来るようになったんではないかなというふうに思います」

 

インターネットでの情報の公開は、適切でない発言を淘汰させていくチェック機能がある。一方で、迷惑投書等に関する掲示板管理はより高度に難しくなってきている。意見の書き込みが増えれば増えるほど、このような対策もより微細に講じておかなければならない。しかし、いずれにしても、いろいろな視点での意見が集まると言うことは、知恵のネットワークが出来るということであり、結果的には大きな動きを創り出すであろう。専門分野の技術者にとっても質問に答えると言うことは何のメリットもない様に感じるが、このような積極的なオープンネットワークへの参加が製造業の経営基盤を安定化させていくと考えれば、金銭に代え難い価値がある。