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IT活用研究会

第4回IT活用研究会 詳細レポート

●豊富なコンテンツは、幅広いリアルな事業展開から生み出される

金井氏の旅館経営の際立った手法は、有馬温泉に来るお客様市場に対して、御所坊を経営するだけでなく顧客ニーズに対応した複数の個性的なホテルや旅館やコンドミニアム、さらには宿泊を提供するだけでなくおもちゃミュージアム、パン屋、ソーセージ立ち飲み屋、農業法人経営、温泉内の町屋や蔵の再生、有馬温泉学の開講、世界まくら投げ選手権の開催など、有馬温泉の集客という目的に対して幅広く事業や街づくりのための仕掛けを展開しているところにある。この予測もつかない展開がインターネットサイトのコンテンツの充実に繋がっていることは言うまでもない。改めて、コンテンツはリアルな事業から脈々と生み出されるもので、取って付けてはできないということである。

そして、金井氏の経営観の真骨頂は、ここにある。

「これからは異質なものを認めなきゃならなくなります。そうなってくると、『アメニティ化』とか『文化化』ということで、ハード面よりもソフト面が大事になってくる。それで最後に一番申し上げたいのは、社会はどっちの方向に行くかと言うと、『成熟化』と『高次元化』した社会に行くということですね。
『成熟化』というのは何かというと、“相反するものを同時に求める”というのが成熟化した社会なんですね。だから花小宿というのは古いホテルのようだけど、旅館だとか。旅館のようにしているけど、ホテルのようにしているとか。非常に新しいんだけど、非常に古いとか。非常に都会だけど非常に田舎だとか。非常にコンピュータのような詳細なデータを求めるけども、実はアナログ的なデータを求めるとか。そういうものを相反して作るように、心がけているんですね」

●情報は堂々と出す部分と、閉じておく部分が大事なのだ

金井氏は自分のホームページをこう分析している。

「じゃ、どういう風に情報を出しているか。また、お客さんがどういう風な情報を求めるかということで、ホームページで情報を出すんですけども。まぁ、このホームページ、はっきり言って普通の人が見たって非常にダサいですし、もう今の最新の技術から言ったら遅れているんですが、必ずしも新しいのが良いということでもないし、かと言って、最先端のものって言ったら、皆、あ、これはきっとどこかの業者に作らせたんやろな、という風に思ってしまうので、まぁあえてこういう風にしてるんですけど」


情報と言うものに対しての金井氏の視座はわれわれに安心感を教えてくれる。情報は本来、必要な人に必要なものがいけばいいのであって、全ての人に全ての情報がいくことが必ずしも良いわけではない。情報を閉じると言うと語弊はあるが、インターネットでどのような情報を誰に提供していくかと言うことは、インターネットを活用するものにとっては重要なテーマであると認識した次第である。金井氏は分かり易く面白くこの情報の開閉について説明してくれた。


「例えば、今、マスメディアの中で、例えば写真週刊誌がありますけど、写真週刊誌に追いかけられてるような人というのは、やっぱりなかなかのんびりできないんですね。 じゃ、そういう人を御所坊へ連れて来たいんやけどなぁとなると、フロントで人と顔を合わせてもいけないし、ましてそういう写真週刊誌が付いてくると、疑惑の議員、有馬温泉で豪勢に温泉に入ってる、とか言って書かれるからこれは非常に困った。 ひょっとしたら、隠れ宿というのも今後起こり得るだろうなと、そうなってくると、そんなんありますよ、とインターネットで載せてはいかんよね。誰も知らんのが価値になるん違うかな、という風になるんですね。 で、情報というのは、堂々と出す部分と、閉めておく部分と両方必ず大事やなと実は思うんですよ。例えばひょっとして旅館でもフロントを通らずに入れるお忍びの部屋というのを作ったとしたら、それはニーズはあるなという風に感じましたよね」